この終幕は其処からどう見える?

BiSH『どんなに君が変わっても僕がどんなふうに変わっても明日が来る君に会うため』
発売中
SINGLE
松隈ケンタ×JxSxKがリリックを手掛ける表題曲は、《しまったと感じなくなったら/今夜でさよならさ/もう会えないな》というBメロから、サビで《何年だってさまつから/僕は何年だって待つから/君しか見えないんだよ》と展開されることで、刻一刻と最後へと向かう彼女たちの姿を眼に焼きつけている今の我々の胸の内とどうにも重ねて聴いてしまうエモーショナルな楽曲。一方、カップリング“ハッピーエンドじゃなくても”の作詞はアイナによるもので、《だらけて どうしようもない日もあった/うまくいかない そんな日もあったね》と過去を振り返りつつ、《ハッピーエンドにしたいね/きっとこれからも笑えるはずだ/ありがとうばかりでいこうよ》と彼女たちの視点からこの先を見据えた言葉が歌われる。ともにミディアムテンポの抑制の効いたトラックで美しいボーカルメロディを強調する構成で揃えていることからも、この2曲は表裏一体の存在であることが窺える。ふたつの視点を交わすことで誰ひとり置いていかぬよう、しかし確かに終わりを迎えるための、覚悟に満ちた柔らかくも壮絶なシングルだ。(長瀬昇)