昨年行われた全国アリーナツアー「Fujii Kaze “HELP EVER ARENA TOUR”」のファイナル、国立代々木競技場第一体育館での模様を完全収録した映像作品。バンドメンバーはTAIKING（G／Suchmos）、真船勝博（B）、佐治宣英（Dr）という布陣で、藤井 風が奏でるサックスや鍵盤の音色とともに、タイム感抜群のアンサンブルを聴かせる。ダンサーたちとともに藤井も軽快なダンスを披露する“きらり”のグルーヴ感には思わず体が揺れる。“へでもねーよ”では、音源録音にも参加した長谷川将山（尺八）がゲストで登場。叙情的な音色で楽曲を彩り、ダークなバンドサウンドへとつながる流れに圧倒される。そしてまたもやダンサーを率いての“燃えよ”の多幸感たるや。オーガニックな藤井 風の歌声はまさに唯一無二のグッドバイブスを放つ。特典映像としてついてくるドキュメンタリー映像も観逃せない。リハ風景やツアー各地の裏側、スタッフやメンバーたちとのやりとりなど、このツアーがいかに細部にまで心を配って作られていたかを知り、また本編を観たくなる。そのループがしばらく続きそう。（杉浦美恵）

『ROCKIN'ON JAPAN』8月号より