まず特筆すべきは、約50秒にわたるイントロだ。乱反射するように飛び交う狂騒的な電子音と鮮烈なブレイクビーツ、その過剰で過激なサウンドのインパクトは尋常ではない。また全編を通して、緻密に構築されたトラックと剥き出しのバンドサウンドの新結合が生み出す爆発力が凄まじい。これはまさに、ヒップホップとハードコアの精神を大胆に取り入れることによって生まれた、オーラル流の新たなロックフォーミュラである。また、同曲においては、山中拓也（Vo・G）を中心としたギルド的コミュニティ「JOGO」が作詞・作曲としてクレジットされており、こうした制作体制からも、自らの音楽性を果敢に拡張していく姿勢を感じる。これまで幾度とない「BKW!!（番狂わせ）」を実現しながら、現行のシーンにおいて唯一無二のポジションを勝ち取ってきた彼らは、今もなお自身をシビアに批評しながら、ロックの更なる革新に挑み続けている。いつまでもアバンギャルドであり続けることこそが、彼らにとっての王道なのだとしたら、これ以上に王道なオーラルのロックナンバーは他にないと思う。（松本侃士）

『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より