本音を叫ぶ2曲

BiSH『悲しみよとまれ』
発売中
SINGLE
BiSH 悲しみよとまれ
ドラムヘッドの振動までもが生々しく伝わる、鬼気迫るビート。これは新しい道へと踏み出す人間の決意と惜別の念の化身だろうか。12ヶ月連続リリース第10弾は、力強さと切なさを併せ持つ壮大なロックナンバー。ざらついたバンドサウンドが展開する中、Bメロのプログラミングセクションでは歌詞に本心と思しき心情が描かれる。楽曲のラストではそれらの音が融合。秘めていた心情を素直に明かすというドラマ性に富んだ展開には、どうしたって刻一刻と解散の瞬間が迫る彼女たちを重ね合わせてしまう。決断には痛みを伴うが、積み重ねてきた日々は消えない――6人が涙を拭いながらそう語り掛ける迫真の楽曲である。

ヘヴィかつポップなロック“飲ませろ”はリンリンが作詞作曲を担当。歌詞には生々しい息苦しさや飢餓感が描かれるものの、概観すると極めてユニークである。その腕前はBiSHとして活動してきたタフネスが培ったものだろう。メンバーがシリアスに染まりきらない、真摯な歌声を響かせるところにもグループの結束が表れている。繊細で鋭利で大胆な6人はどこまでも凛々しい。(沖さやこ)

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