絶え間なく様相が変化し続ける群雄割拠のロックシーンの中で、ただただまっすぐに、自分たちのルーツミュージックへの深い愛を滲ませた独自のミクスチャーロックを鳴らし続ける。それがバニラズ流のストロングスタイルであり、そしてその姿勢を懸命に貫き続けた旅路の先で、彼らは創作を共にする新たなミュージシャン仲間との出会いを果たした。今作には、バンド初のコラボレーション楽曲“Two of Us feat. 林萌々子（Hump Back）”を含め、井上惇志（Piano）、手島宏夢（Fiddle）、ファンファン（Tp）が編曲として参加した楽曲が複数収録されている。既発曲“LIFE IS BEAUTIFUL”や“ペンペン”を初めて聴いた時も驚いたが、今のバニラズは、かつてないほど大胆に自分たちの創造性を開花させている。特に、アイリッシュサウンドと鮮烈なロックバイブスを掛け合わせた“HIGHER”が生む高揚感は本当に凄まじい。好きな音を、好きなように、好きな仲間たちと鳴らす。その無邪気な自由さこそが、今回バニラズが手にした最強の武器であり、今の彼らは何度目かの覚醒の季節を迎えている。（松本侃士）

『ROCKIN'ON JAPAN』1月号より