アニメ『チェンソーマン』第4話EDテーマに起用されたTOOBOEの“錠剤”は、コミカルな曲調とcoalowlによる可愛らしいアニメーション映像のマッチングも素晴らしかったわけだが、ここでは同曲が収録されたメジャー初のEPについて書く。ボカロPとしても活躍するマルチクリエイターjohnのソロプロジェクト=TOOBOEは、日本のインターネット音楽文化圏特有の空気をたっぷり吸ってきたことが窺えるアーティストだ。高度で意表を突く楽曲展開がありながらもキャッチーな魅力を損なわず、つんのめったユニークなビート感覚も世界に類を見ない。米津玄師“KICK BACK”とも極めて近い息遣いの音楽だが、それでもしっかりと個性を打ち出す作曲センスが備わっている。つまり自分に最も相応しい呼吸の仕方を知っているポップミュージックなのである。和の郷愁が滲むファンキーポップ“ivory”、奇天烈な脱臼グルーヴの中から狂おしい感情を立ち上らせる“まるで亡霊”、そして卓越したアレンジに舌を巻くTOOBOE流ソウルの逸品“ヤング”と、どこを切っても強烈な作家性が溢れ出す作品だ。(小池宏和)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2月号より)
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時代の音楽文化にある息遣い
TOOBOE『錠剤』
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