既発の4曲に、アップリフティングなビートに乗せ歌われる自問自答を通じ喪失から立ち上がる様を描いたリリックが感動的な表題曲と、フォーキーなメロディに石若駿のピアノが絶妙に華を添える“Smile”が加わった6曲入りEP。6曲、もれなく名曲である。アルバムごとに異なる挑戦を果たしてきたくるりの歴史において、ここまでソングオリエンテッドな作品はかつてなかったはず。初回限定盤に付属する昨年のツアーと京都音楽博覧会でのライブ映像を観るとバンドアンサンブルの研鑽はライブで、こちらも付属の映画『ちひろさん』のサントラを聴くとラディカルなソングライティングやアレンジの追究は岸田のソロワークとして、共に十二分に行われていることが感じ取れる。そうした音楽家としてある種満たされた環境において、ただただ普遍的なポップソングを作ることに腐心した成果がこの6曲なのではないか。ただ、アルバムではなくEPサイズでリリースされたことから、ここを区切りにまた新たな目的地への冒険が始まるような予感がある。その意味でも、今確実に聴いておきたい宝物のような作品だ。(長瀬昇)
(『ROCKIN'ON JAPAN』4月号より)
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