“ドライフラワー”後の物語がここに

優里『弐』
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ALBUM
2ndアルバム『弐』では、先行してデジタルリリースされていた楽曲もすべてリマスタリングされ、アルバムとしてひとつの世界観を表現している。まず“ビリミリオン”が指し示す強いメッセージに引き込まれる。あえて《頑張ろう 頑張れ》というシンプルな言葉を使ったこの曲は、簡単に自分の人生を売り渡すなという優里の心根が滲む。そして何より注目したいのが、彼の大ブレイクのきっかけとなった“かくれんぼ”、そして“ドライフラワー”の物語をさらに押し広げる楽曲が収録されているところ。“クリスマスイブ”のほか、“かくれんぼ”で描いた物語を男性目線で表した“おにごっこ”、そして優里の新たな代表曲となること必至の“恋人じゃなくなった日”には、誰もがやられた!と膝を打つのではないか。歌の1番と2番とでは、《恋人じゃなくなった日》と歌う言葉の意味、そこに宿る感情がまるで変わるのだ。それを歌詞のみならず、歌唱のニュアンスで繊細に表現する優里のボーカルがやはりすごい。その一連の物語歌を含む全14曲。どの楽曲にも強い説得力を持って優里の歌声が鳴り響いている。(杉浦美恵)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年5月号より抜粋)


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