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DeuとItoがリレーしながら積み上げるグッドメロディ、感嘆にもため息にも似た印象的なコーラス、加速度的にアガっていく狂騒的なサウンド。曲の構成はとてもPEOPLE 1らしいし、気が狂いそうな世界への諦念や厭世感も変わらずある。が、そんな中でもこの曲は「他者との繋がり」を切望しているのが胸に刺さる。とは言え、《どうにかなってしまうよもう》という悲痛なまでの叫びが止まることはなく、その望みが叶ったかどうかはなんとも言い難い。《君はどう思うだろう》と他者のことを想像しながらも実際には投げかけず、《それでも僕ら分かち合いたい/ここにいたい そばにいたい》という願いは願いのままそこにある。でも、それはさほど重要ではないのかもしれない。他者との繋がりを諦めない自分でい続けること、それそのものがどうしようもない世界で正気を保っていられる最後の砦なのだ。最後の最後、ほとんど聴き取れない声で《クローザー》と呟く彼らは、君のことを思いながら今日も孤独の海を泳ぎ続ける。(藤澤香菜)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)
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