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9月に行われたトンボコープの初ツアー、そのファイナルを渋谷・Spotify O-Crestで観た。自分たちがバンドをやること、音楽を鳴らすこと、ライブでお客さんの前に立つこと、その意味をこの4人は最初から知っているのだと思った。雪村りん(Vo・G)の目はライブハウスのフロアのはるか先を見ているようにも見え、その意思はステージの規模からすれば不釣り合いなくらい力強いサウンドからも感じられた。使い古された言い方をするなら、「こいつらは本気で世界を変えようとしている」と思ったのだ。そしてそのライブで披露された新曲がこの“風の噂”。イントロのアルペジオから、1音鳴るごとに新しい景色を切り開いていくような逞しい心を感じる、すがすがしいアッパーチューンだ。《白黒の世界に花束を》《素直になれない日々も/驚きで世界が裏返るような/遠回りにしてみせるよ》《もっといろんな場所に/二人で行こう》。歌詞にはぐんぐんと前へ歩を進めるような言葉が並ぶ。間違いなくこれは幕開けの歌。いよいよここからだ。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年12月号より抜粋)
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