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「ジャズやフュージョンを音楽的ルーツに持つ、ギターレス4ピースバンド」と紹介されると、洒脱でクールな、大人びた音楽性をイメージするかもしれない。でも、全然違う。めちゃめちゃエモくて、パンチの効いた歌心にぐいぐい持っていかれる、若く苛立った音楽だ。北海道は函館出身、名無し之太郎。本作がメジャーデビュー曲であり、ここから3ヶ月連続のデジタルリリースが予定されている。今回届けられた“我儘”という曲は、ジャジーなグルーヴが勢いに満ちながらくるくると表情を変え、女性ボーカリスト・林(作詞も担当)のハスキーな節回しがリリカルかつ挑発的に駆け抜けてゆく。お決まりのレールに沿った人生に真っ向から挑みかかる姿勢が、サウンドからも歌からもとめどなく溢れ出していてかっこいい。インターネット音楽界隈に見られるハイレベルなポップ理論と、若くしてがっちり鍛え上げられた表現スキルを兼ね備えた恐るべきデビュー曲だ。2024年、絶対注目の新星であることは間違いないだろう。(小池宏和)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)
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