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藤井 風の新曲は、“青春病”のミュージックビデオを手掛けた山田智和による初監督長編映画『四月になれば彼女は』に書き下ろした、初の劇映画主題歌(「劇」とつくのは過去に東京オリンピック公式記録映画『東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B』のテーマ曲を担当しているため)。この曲で藤井は、形あるものもないものもすべては変わってゆくことを歌い、それを受け入れるための道標と安らぎを与えてくれる。人は多くのものを手に入れようと一生懸命に生きて、一度手にしたものを失うことを恐れるが、手放すことでこそ「満ちてゆく」。森羅万象すべてのものへ、愛を与えれば与えるほど「満ちてゆく」。そんなテーマを、8分音符が続くシンプルなメロディで、ひとつの音符に1文字だけを乗せて1音ずつ語るように歌う。しかも1番のサビまでは温かみのあるピアノの音だけが鳴り響く中で歌われる。「手放すことで満ちてゆく」というメッセージを、削ぎ落とすことで極上さを際立たせた音楽に重ねて表現した至極の楽曲。(矢島由佳子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年5月号より抜粋)
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