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Netflix映画『パレード』の劇伴として書き下ろされたインスト34曲に加え、主題歌を担う“なみしぐさ”を収録。劇伴はピアノを主体とした静謐で美しいトーンが基調となっているものの、ストリングスを効果的に用いた盛り上がりが随所に設けられ、物語の起承転結に丁寧に寄り添ったサウンドメイクがなされている。そして、“なみしぐさ”。ほぼアカペラから始まりつつ、荘厳なコーラスにストリングス、ピアノを次々と重ねていくことで驚くべき広がりを見せる音像はバンドサウンドと一線を画しており、「野田洋次郎」名義での楽曲である必然性が感じられる。また、《君に会えるなら この海の水さえも 飲み干すよ/君が笑う声が私の奥で 聞こえた気がした》と大切な人を失った側からの視線が綴られる前半と、《君がこの先で 出逢う恋や 絶望や奇跡を/見守ることさえ 叶いはしないの それだけが悔しい》と大切な人を残してこの世を去った側に移行する後半とが交差し、喪失と愛の関係を立体的に描き出そうとするリリックが感動的。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年5月号より抜粋)
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