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昨年リリースしたアルバム『大人の涙』に続くEPのタイトルは、1曲目“忘レナ唄”の歌詞からそのまま引用されているのだが、「涙」というコンセプトでまだこんなにもバリエーション豊かな楽曲を生み出せるということに驚かされる。収録された4曲はどれも泣き出したくなるような瞬間の気持ちを切り取っている。夢を追いかけるときに味わう悔しさを映し出した“忘レナ唄”、大切な人を失った虚しさを歌う“月へ行こう”、満たされない生活と孤独に向き合う“poole”、先生への初恋を思い出して大人になった自分を急に惨めに思う様を描いたクスッと笑える“JUNKO”まで。溢れる涙も枯れてしまった涙もあるように、複雑な感情のグラデーションが表現されている。これまでに青春ソングでも恋愛ソングでも名曲を世に送り出し、それでいて常に遊び心を忘れないマカロニえんぴつだからこそ、「切なさ」「哀愁」というカテゴリーの中でこんなにも自由に表現の幅を持っていられるのだろうなと、バンドの底力が物を言わせている作品である。(有本早季)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年7月号より抜粋)
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