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トリビュートアルバム(8月28日リリース)、過去最大規模のワンマン(11月16日Kアリーナ横浜)、という現メンバーになって15周年を記念しての活動のほか、尾崎世界観の小説が二度目の芥川賞候補に選出されたりしている中で、それらに先駆けて7月10日にリリースされた新曲。リリース時点ではタイアップ等は特になし、なのは「“5秒でスキップされてしまう広告”と“本編の映像”、“CM”と“MV”を、“本命になれない自分”と“本命の誰か”になぞらえた楽曲」(宣伝資料より)なので、CMに起用されたりすると曲の位置づけがややこしいことになるからかもしれない。違うかもしれない。世の中の趨勢や今の時代の生活習慣(この歌の歌詞で言うと《まもなく次の動画が再生されます》とか)や、その中にいる自分を俯瞰で見るメタ的な視点を入れて楽曲を書きながら、しかし「批評」や「分析」にはならない。いかんともしがたく生々しく感情が伝わる「表現」になる。というクリープハイプならではの魅力に満ちている曲、本作も。(兵庫慎司)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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