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リアルな恋愛ソングを世に放ち話題沸騰中の冨岡愛が次に描くのは、《あの子みたいになりたい》と誰かを羨む気持ち。色恋の面でのヤキモチだけでなく、自分と誰かを比べることで抱いてしまった劣等感も詰めこまれたリリックには、共感せずにいられない。《持ってるもので勝負しなさい/そんな綺麗事で幸せに/なれるなら苦労なんてしないわ》の一節なんて、握手を求めたいくらいの「わかる」である。しかも、そんなドロッとした感情を中和するかのように、サウンドはスカッと爽快。このバランス感が目を背けたくなる想いを、グッと受けとめやすくしている。また、彼女が制作で意識している言葉遊びも、ご多分に漏れず今作にも出現。《ジェラシー いやらしい》と韻を踏んでみたり《愛されていたい》を《愛されてても痛い》とかけてみたり、耳に刺さるユーモアと思わず唸ってしまうワードチョイスを両立させている。日常で感じてしまう嫉妬心を爽やかに受けとめ、そんな自分もサラッと肯定してくれるような楽曲だ。(坂井彩花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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