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「もどかしい気持ちとふたりの駆け引きを描いてみた」という石原慎也の言葉の通り、若き恋の後期~終焉までを鮮やかな筆致で描き切った楽曲だ。はじめ、ミュートし刻むギターに合わせ淡々と《いまさら本音がどうとか/聞きたくないよ/どうせなら墓場まで/隠してみせてよ》と迷いの感情が歌われる。その後、感傷的なギターソロを経て、《「またね、会えたら会おうよ」/って歩き出した君に/“もう、会う気ないなぁ?”/ついつい本音が飛び出しそうだ》と不安が確信を帯びてゆき、アンサンブルの昂ぶりと共に《生まれ変わってもまた/ふたりは出会ってしまうなら/この気持ちはいつまで経っても終わらないかな》と心変わりの瞬間を表現(歌詞の「気持ち」を「地獄」と発声する技も効いている)。そして、ギターもビートもクライマックスを迎える中、《もう好きでもないから/あたしについた嘘も全部可愛く思える》と言い切って幕を閉じるカタルシス。5分弱の尺において微塵の不足も余剰も感じさせない、完成されたラブソングである。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年10月号より抜粋)
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