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ノイズ交じりの古めかしいワルツで始まったかと思えば、ガラッと雰囲気が変わりエレクトリックな異空間へと誘うインスト曲“Walk in New Directions”で幕を開ける『WiND』は、1stアルバムにしてすでに名盤。先行配信された壮大なロックアンセム“DUNE”、アンニュイな雰囲気が心地のよいボサノバ風ポップス“Windy You”、80’sを彷彿させる煌めくディスコロック“Once Upon a Night”で楽曲の振り幅に驚き、曲名にかかったダイヤル音などを交えた遊び心のあるサウンドが面白い“CALL, CALL”や、“Devenir”から繋がる渋めロックなイントロと、メロウなサウンドが体の奥深くまで沁み渡る“SERENADE for Brahma”の流れで完全に心を掴まれる。“Windy You”では《なんでそう急足なんでしょうか/今だけはそこに腰を下ろして》《薄手の布と愛に包んで持って待ってて》と歌う夏の夜風のような爽やかな優しさが、楽器本来の美しさが際立つシンプルなサウンドも相まって素直に胸に響く。愛に溢れた傑作である。(伊五澤紗花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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