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バルーンの楽曲を様々なアーティストがカバーした5曲に、「バルーン×ヒトリエ」名義の“WOLF”を加えた企画アルバム。本作が「須田景凪/バルーンのトリビュートアルバム」に収まらないのは、やはり“WOLF”の存在が大きい。他者からの目線だけでなく、ヒトリエという先達に向き合うバルーンの眼差しまで保存したことに、本作に刻まれた歴史やつながりを複線化する大きな意味を感じる。他にも2010年代後半のボカロ文化を象徴する“シャルル”をカバーしたAdoとキタニタツヤや、“レディーレ”をカバーしたReolと椎乃味醂のタッグはそれぞれバルーンの下世代と同世代のコラボであり、さらにTikTok世代を代表するなとりや、バンドからの解釈を投じるChevonも参加。「歌謡曲」という観点から改めて“雨とペトラ”の叙情的な躍動感を捉えた高畑充希×スカパラのタッグも見事。コンパクトな作品だが、本作を起点に音楽と人の心の関係について、私たちが生きた時代について、いくらでも考えることができる充実作。(天野史彬)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年5月号より)
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