「今っぽい音」じゃなくて「今の音」。2009年新人勢のなかでビッグ・ピンクが注目を集めている訳は、一分の隙もない「今の」ロック・ミュージックをやっているから、ということに尽きるだろう。冷ややかなドラム・マシーンのビート、電子音のループにフィードバック・ノイズ、アブストラクトなエレクトロニック・サウンドが相まったサウンドは、たとえばTVオン・ザ・レディオとザ・ホラーズをつなぐかのようだ。
アラン・モウルダーをプロデューサーに迎えたデビュー作に先がけてリリースされる本EPは、“トゥー・ヤング・トゥ・ラヴ”と“ベルベット”という対照的な2つのキラーに加え、ブロガーが沸いた“ベルベット”のギャング・ギャング・ダンスによるリミックス、究極のコラージュ・アート・サウンドを体現するビデオも観られるという必携の1枚。バンドのそもそもの目標は、「デジタルなヴェルヴェット・アンダーグラウンド」だというが、ドラッギーな背徳と愛をビタースウィートに描ききるセンスは、なるほどというものである。今のインディ・ダンスど真ん中でありながら、英米シーンの橋渡しとなる貴重な存在だ。(羽鳥麻美)