青春のブリティッシュ・ビート

リップコード『ビギナーズ・ラック』
2009年07月15日発売
ALBUM
リップコード ビギナーズ・ラック
♪パ〜パパパ〜というブライトで甘いコーラスが効いた、アルバム1曲目を飾る“MY PRECIOUS VALENTINE”から、持っていかれっぱなしだ。ガレージやソウルの小粋なエッセンスを汲んだ60’Sモッズの洒脱感があり、情熱的でタイトなビートと朗らかでポップなメロディは反目し合いながらも絶妙に絡み合って、キュンと胸にせまるようなロマンティックなロックンロールを生み出している。反骨的な青春映画を地でいくような尖りやナイーヴさを抱え、とはいえ、しれっと弾き語りの美しいバラードも歌いあげたりと聴き手を翻弄する術も魅力だ。

10代を卒業したばかりのリップコードの4人。07年にイベント「ブリティッシュ・アンセムズ」でジ・エネミーやブラッド・レッド・シューズらと日本の地を踏んでいるが、アルバムのリリースはこれが初めて。瞬発力で作り上げたサウンドを、じっくりと精錬・洗練させていった。鋭く、ぴかぴかに楽曲(の個性)を磨いた時間を感じさせる。そして思いが色褪せないようこのアルバムに、永遠に封じ込めたのだろう。だから、プレイボタンを押すたびに、芳しい蒼き音の香りがする。(吉羽さおり)
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