メグ・ホワイトという才能の根拠すら曖昧な「諸刃の刃」を相方とするストライプスは、ジャックの異才とは全く別種の異才を等価値におく緊縛&緊張プレイによって実現したフェティッシュなコンセプトワークである。結果、足し算でも掛け算でもなくいきなり位相を変える、あのアートとしての飛躍的オリジナリティは生み出されたのだ。一方のラカンターズは、ジャックの異才をバンド形態の中で薄め、融和させることで手にした新たな、そして普遍的(かつ普通)な活動の場であった。
対してこのデッド・ウェザーの面白さはジャックとヴィヴィがほぼ同種の美意識を持ち、敢えてシンクロを試みるまでもなく深くどこまでも突き進んでいける環境であることだろう。喩えるならば、黒に黒を重ねてもただの黒だけど、ここには驚くほど豊かな黒のバリエーションが存在する感じ。ガレージを基本にマリアッチ調のフリークビートや激アシッドなサイケデリックがこってり盛られた超オールドスクールな快感原則に支配された本作だが、ナゲッツに成り下がらないのはどうしたって普通ではないキレを見せるジャックのドラムのせいか。
本作のヴィヴィは正直、キルズの彼女よりもずっと輝いている。そこもまた、さすがはジャックといったところ。(粉川しの)