ついさっきサマーソニックのステージでも彼らのアクトを観てきたばかりなのだが、その全身が痺れてきそうな重低音と波動が、観ているだけでもビビッドに蘇ってきそうなライブDVD。しかし、その「蘇ってくる」のトリガーになっているのは、あの轟音ライブの「記憶」ではなく、かといって今年3月24日の1stツアー・ファイナルを全曲収録した今作DVDのソリッドな音質だけでもない。彼らが……というかTAKESHIが、この極限までシリアスでヘヴィでハード・エッジな音でこの世界を徹底的に憂い、批評することによって逆説的に鳴らした「前に進むためのロック」と「ロックを前に進めるための意志」の圧倒的な強さに、改めて戦慄を覚えずにいられないからだ。“I HATE HUMAN”や“PEOPLE KILL PEOPLE”といったあまりにダイレクトなTAKESHIの絶望的な危機感が、巨大なエネルギーとなってSHIBUYA-AXを揺さぶっている図は、僕らがロックに託す希望のかたちそのものだ……ということを、何度でも何度でも教えてくれる貴重な1本。日本にこんなバンドがいてくれて、心底嬉しい。(高橋智樹)