実際、定番のヒット・ナンバーは全く演奏されず、最終的には『アクセラレイト』に収録されなかった曲なども含め、おそろしくレアなセットリストになっていて、非常に興味深く聴ける。また、観客とのくだけた会話や歌い損ねた箇所をそのまま収録しており、 ライブ全体が極めてリラックスした雰囲気に満ちているのも新鮮だ。ビル・ベリー脱退後、いつのまにかバンド内で緊張感が高まっていった状況から抜け出し、落ち着いた状態へと辿り着けたことが 手にとるように分かる。そしてそれが、単にヌルいものにはならないところが、さすがR.E.M.だ。
本作の楽しみ方としては、オーディオに正面から向き合う気持ちで臨むのではなく、カーステレオに入れて、晩秋のドライブのBGMで使ったりすると、とてもいい感じになるのではないだろうか。(鈴木喜之)