09年3月にリリースしたデビューシングルはCM曲に採用され、耳に残る英語詞のサビと透明感のある声に、彼の音楽をヒーリングミュージックだと思った人もいるだろう。また、ライブを見たら口数の少ないシャイな20歳の青年という印象を持つかもしれない。でもこの曲を聴けばそれが彼の単なる一面に過ぎなかったことに気づくはずだ。前作“ヘルプミーヘルプミーヘルプミー”では漠然と抱く日常の不安に対して、「ヘルプミー」とつぶやくことで救われた。しかし今回は、ぼくを苦しめる「きみ」に「痛いよ」と切実に伝える。赤裸々な内面を曝け出したこの曲は、リスナーの心にすっと入り込み、奥底にある傷を刺激する。その刺激は否が応にもリスナーを曲と一対一の世界に連れて行く。「私も痛い」と叫びたくなる。この曲にはそのパワーがあるし、今後の進化を占う上でもきっと重要な一曲。（山本恵子）
