アイデンティティの1枚

ザ・バード・アンド・ザ・ビー『プライベート・アイズ ~トリビュート・トゥ・ホール&オーツ』
2010年04月07日発売
ALBUM
ザ・バード・アンド・ザ・ビー プライベート・アイズ ~トリビュート・トゥ・ホール&オーツ
自身のライブでも、聴き手を唸らせるアレンジ・センスでさまざまなカバー曲を披露するザ・バード・アンド・ザ・ビーの2人。カバーは彼らの魅力のひとつでもあるが、3作目となる新作は、なんと全編ホール&オーツのカバー! ホール&オーツは懐かしポップという認識もあるとは思うけれど、ポップ好きにとっては「レトロな懐メロ」ではなく、永遠のクラシックだ。というわけでこのトリビュート・アルバムは心が躍る1枚。『ギルティ・プレジャー』ならぬ『ギルティレス・プレジャー』という原題のとおり、真正面から楽曲と向き合うスピリットを糧に、ホール&オーツ・ナンバーに新たな生命が吹き込まれている。“プライベート・アイズ”などは、今聴くとちょっとこそばゆい80sならではの従来のアレンジが、ジャズやロックのフィルターを通し、今流でTB&TBらしい解釈が施される。エレクトロのエッセンスを程よく品よく採り入れた“シーズ・ゴーン”、“マンイーター”ではシャーリー・マンソンがバッキングVoで参加したり、オリジナル曲のオープニングで自らの世界観をさりげなく提示したりといったセンスも絶妙だ。(羽鳥麻美)
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