キーンという名の音楽優性遺伝子

キーン『ザ・ナイト・トレイン ‐夜行列車‐』
キーン ザ・ナイト・トレイン ‐夜行列車‐
フットボール・アンセムかってくらいの♪ウォオオ~のコーラスとカナダ人ラッパー=ケイナーンのライムが光る“ストップ・フォー・ア・ミニット”の公式サイト先行試聴の時点で驚愕ものだったが、蓋を開けてみればもう1曲のケイナーン参加曲“ルッキング・バック”が「ヒップホップ・ミーツ・“ロッキーのテーマ”」みたいだったり、フォーキーなコード・ストロークとハンドクラップに乗せて歌うメランコリックな楽曲を“クリア・スカイズ”と呼んでみせたり、日本人フィメール・ラッパー=ティガラを招いてYMOの“以心電信”をカバーしていたり……28ヵ国をライブで巡りつつ、訪れた諸国でレコーディングした渡航日誌的ミニ・アルバムであると同時に、過去3作で確立した「自らにまとわりつく『キーンらしさ』を打破する」という戦闘態勢の極致のような1枚。何より、彼らのそのトライアルが、それこそロックが非ロックを希求し取り込んで進化&発展していったのと同種のダイナミズムを今なお持っていることが1音1音から窺えて嬉しい。最後の最後に超美メロ曲“マイ・シャドウ”を忍ばせてあるあたりも、つくづくニクい。(高橋智樹)
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