ブルーズ少年と世界の和解

22-20s『シェイク/シヴァ/モウン』
2010年05月19日発売
ALBUM
22-20s シェイク/シヴァ/モウン
頑なだった彼らの心がほぐれ、そこから鮮やかな色彩が溶け出していくような、ちょっとセクシーで余裕すら感じさせる22-20s待望の新作である。ただし、かつての彼らが頑なであったこと自体はもちろん美徳なのだ。2004年のデビュー・アルバムに渦巻いていたあの強靭なグルーヴ、ぐつぐつと焦燥を煮えたぎらせていたあの純度100%のブルーズは、当時二十歳そこそこの若造だった彼らの清廉な魂によってこそ鳴らされた、一期一会の奇跡だったからだ。例えばザ・ジャムの後期にソウル・ミュージックと青臭く格闘していたポール・ウェラーのように、22-20sのファーストとはロック少年がブルーズを信じ、ブルーズに己の青春を託した「少年の強情」の一枚であったからだ。対して実に6年ぶり(!)となる本作は、彼らの盲信にも近い強情の季節の終りを告げ、「何が何でもブルーズ」ではなく彼らが「なぜ自分達はブルーズなのか」を理解し、答えを手中に収めたアルバムとなった。解散だの再結成だのと未だ二十代半ばにしてあまりにも生き急いだキャリアを辿ってきた彼らだが、その七転八倒がきっちり血肉となっている。おかえり!(粉川しの)
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