ドラマ主題歌って、まさに

ハーツ『ハピネス』
2010年11月03日発売
ALBUM
ハーツ ハピネス
ポップ・ミュージックは人の人生を変えることも可能だし、そこには深遠なメッセージを込めることもできる。絶望までもがそこでは快楽に転化され、自らの文学を刻むこともできる。という事実は今さら口にするのも憚られるが、その一方でポップ・ミュージックとは気分だと思う。ちょっとアげる、ちょっと慰む、ちょっと背中を押す、そのちょっとのために毎年、無数の楽曲が書かれる。対処療法と言えるこうしたポップ・ミュージックはその場当たり的性格ゆえ時に愚弄され、消費財として一刀両断されることも少なくない。しかし、その「ちょっと」というリアリズムとシビアさゆえ、大言壮語なメッセージ・ソングなんかよりもずっと誠実さと真実を湛えることがある。

サマソニで一足先に来日、「まんざら悪くない=not too bad」をコンセプトとして掲げるというこのデュオはそのことを重々承知しているのではないか。ジャケットからもギンギンに放射されている美意識に身構えるが、「ちょっと」と真実を繋ぐ神秘に身を呈そうという気合が、デビュー作となる本作には満ち満ちている。M2、M8はもちろんだけど、サード・シングルになったM5も好き。(古川琢也)
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