びっくりするほど、LOST IN TIMEらしく、そして長い夜が明けた様に開かれた一枚だ。

LOST IN TIMEのニューアルバム『ロスト アンド ファウンド』は、孤独も、迷いも、後悔も、傷つけた傷も傷つけられた傷も、全て詰まったまさに満身創痍の作品だ。しかしそれと同時に、《嬉しい事も悲しい事も　何もかも無くしてく僕らは／それでも（中略）笑顔になれる様な　明日を待ってる／明日を探してる》（“なくしたうた”）そのひとつひとつをしっかりと抱きしめ、共に生きていく覚悟と希望を鳴らしている作品でもある。幾度のメンバーチェンジを経て、出会いと別れを繰り返した今、自分の弱さを、失敗を認める「強さ」が彼らにはあるのだ。そして今回は曲作りの段階からサポートギターの三井律郎がこれまで以上に積極的に参加したことも大きかったようだ。より強固な絆と、心に突き刺さってくるバンドサウンドが広がり、海北大輔（Vo・B）の聴き手を包み込む様な歌声も力強く、瑞々しく響いている。聴く度に心が静かに熱くなってくる。これがロストの素晴らしさなんだ。（山本恵子）