カシオキッドいやー、面白いほどにピッコピコ。20年前のゲームの世界に迷い込んだ気分だ。カシオキッドなんて名前だからてっきり宅録少年のソロ・プロジェクトだと思っていたら、ボーカル/ゲームボーイ(!)担当、キーボード担当、ドラムス/プログラミング担当によるイギリス出身の3人組だった。最近だと日本でもYMCKのヒットが記憶に新しいが、このカシオキッドもチープかつフラット、なのに甘酸っぱいセンチメンタリズム満載なチップチューンの潮流に乗ったニューカマーである。
ファミコンがバグるとカセットにふーふー息吹きかけていた筆者からしてみると、この手のゲーム・ミュージック・ミーツ・ポップな音を純然たる音楽として楽しめるのか不安だったのだが、カシオキッドはそこに強烈なエモーションを封じ込めて、そこかしこで琴線に触れてくる。M9とかM10なんてエモど真ん中な泣きメロ炸裂だし。シンセ&4つ打ちビート&ハイ・テンションな「踊れるエモ」でダンスとロックのボーダーラインが薄まりゆくなか、ナード仕様なゲーム・ミュージックからもシンガロング必至のエモ・サウンドが出てくるのは必然なのかも。(林敦子)