the telephonesの、あたかも摂氏100度と絶対零度を瞬時に行き来するかのようにイキきったハード・ロック&エレクトロっぷりとは対照的な、冷徹な手触りの奥に確かな体温を感じさせる石毛輝のプライベートな音楽世界……なのだが。じゃあ今作がアンビエントでエクスペリメンタルな音楽だったり、その反対に狂騒とは無縁のリラックス・ミュージックだったりするかというと、そのどちらとも違う。むしろ「核心部分がイノセントで理想主義的な人間だからこそ、自分自身を解放する装置としてthe telephonesのような飛び道具的バンドが必要だった」ということがよくわかる作品、とも言える。闇の中の氷柱のように輝く“Flowers On The Wall”の音像。《見えているものが多すぎて/見えないものを信用した/見えないものが多すぎて/見えてたものすら信用しなくなった》と無防備に歌い上げる“Fireworks”。電子狂騒ビートの成層圏を突き抜けて幽玄なる旋律の宇宙へと飛び出すインスト曲“My Love”……石毛輝が己の表現と向き合う場所としてのベッドルームから届いた珠玉の闘争ドキュメンタリー的作品。(高橋智樹)