涙の全力疾走
SISTER JET『LONELY PLANET BOY』
2011年01月12日発売
2011年01月12日発売
ALBUM
SISTER JET史上、最も魂をガツンと揺さぶる力のある作品だ。6月に日比谷野外音楽堂でのワンマン、そして11月からの全国ツアーでは日本青年館でファイナルを迎えるという、かなりいい状況で2010年を駆け抜けて来た彼ら。しかし今作『LONELY PLANET BOY』は、そんなハイテンションな上昇気流よりもむしろ、「なみだ」や「さよなら」といった言葉が全体的に散りばめられたセンチメンタルかつシリアスな1枚に仕上がっている。2010年2月にリリースされたシングル『MR.LONELY』がそうであったように、曲を手がけるワタル S(Vo・G)が、音楽に救いを求めて来た日々を今一度思い出し、ずっと歌いたかったことを一気に吐き出している、そんな楽曲が多い。そして“LOVE SONG(ON THE AIR)”やラストの“アディオス・アミーゴ”などでの「さよなら」というキーワードには、バンドのひとつの季節の終わりと、明日への覚悟が感じ取れる。気心の知れた仲間とのキラキラと輝いていた日々は過ぎ、更なる旅立ちを決意した彼らの、ちょっと切ない心情が全力疾走のロックンロールから零れ落ちる。(上野三樹)