DVDとして復刻されるこのRC初の武道館ライブが行われた約30年前、僕は6才だったので実際のライブはもちろんこの映像を観たことはなかったのだが、もし10代のときにこのビデオに出会っていたならテープが擦り切れるまで猿のように観まくったことだろう。収録曲のほとんどは『RHAPSODY』『PLEASE』『BLUE』というRCが最も脂の乗りまくっている時期の3枚からのほぼベスト・セレクト。誰よりも派手で、誰よりも破天荒で、誰よりもエンターテインメントに正面から向き合った清志郎の向かうところ敵なしのステージ・パフォーマンス。燃料をぶち込み過ぎた暴走機関車のようなテンションで弾きまくるチャボの強烈なギター・プレイ。そして、そのふたりの超絶フロントマンと大胆かつ冷静に渡り合うリズム隊や鍵盤やホーンセクションも見事なまでにロックンロールしている。1987年の2万字インタビューで清志郎は、初武道館をやったときはまだ六畳間に住んでいて銭湯通いだったと語っていたが、ステージ上の彼らは眩しいくらい、日本一のロックンロールバンドとなった自信に溢れている。（古河晋）