ビッグ・ビーチ・フェスティバルで2年ぶりに来日が決まったファットボーイ・スリムの編集盤。5年前にもベスト盤をリリースしており、内容はかなりだぶっているが、今回は映画のサントラ等に使われ現在では入手困難な3曲が収められているのがミソ。輸入盤で『Best Of The Bootlegs』という代表曲のリミックス・バージョンばかり集めた編集盤が出ているので、そちらと合わせて聴くのも一興だろう。あとはブライトン・ビーチのDVDでも観ておけば、フェス前の予習は完璧だ。
ここに収められた曲で最新のものは2004年。実はノーマン・クック先生、2004年の『パルーカヴィル』以降まともなオリジナル・アルバムを出していない。相変わらず世界屈指の動員力を誇るトップDJではあるものの、ダンス・ミュージックのクリエイターとしては、開店休業状態と言えなくもない。新陳代謝の激しい世界だけにここに収められたトラックも古びていそうだが、案外そうでもない。ダンス・ミュージックの快楽のツボみたいなものはちゃんと抑えられているので、表面上の装飾は少し色あせても、曲の耐久度みたいなものは衰えないのだ。(小野島大)
やはりこの人は憎めない
ファットボーイ・スリム『ベスト・オブ・アット・ザ・ビーチ』
2011年05月25日発売
2011年05月25日発売
ALBUM