突然の発表にはホントに驚いた、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン来日。昨年末、唐突にダブリン公演、続いて久しぶりのイギリスツアーが発表され、いよいよ何かが動き出しているのかと期待してはいたものの、まさか日本公演までとは!
前回の来日は18年で、SONICMANIAに加え豊洲PITでの単独公演で喜ばせてくれた。新曲も交えながら例によって爆音が体内から引き起こす激震を体験し、ここから新章が始まるかと思われ、数年前にはニューアルバムの噂もかなり現実化したものの、やはりというべきか、結局うやむやに。ただ、新作に向け前向きにやっていることは間違いなく、やはりケヴィン・シールズの最終的な決断次第ということなのだろうが、こうして大掛かりなツアー出動は期待感を思いっきり膨らませる。
東京では8年ぶり、大阪では13年ぶりとなる今回のツアーだが、初来日は91年11月のこと。川崎クラブチッタで体験したパフォーマンスは噂通りの壮大な音の洪水とサイケデリックなライティング、スライドなどにクラクラしたものだが、それはただ情動的にサイケ演出を凝らすということじゃなく、奥の奥に眠る美学との無限の対話を強烈に感じた。
まるで実体験することはなかった60年代ヴェルヴェット・アンダーグラウンドがマンハッタンの下町で繰り広げた伝説のパーティへと連れて行かれるかのような感触も覚えたものだ。それは現在進行形の中でも衰えることなく続いている。例によって『ラヴレス』の“アイ・オンリー・セッド” “ホエン・ユー・スリープ”に始まった前回ツアーは、これまでにリリースされた3枚のスタジオアルバムからほぼ満遍なくピックアップされたものであっただけに新曲の存在が強烈な光を放っていたわけだが、そこからどんな変幻を繰り広げていくものなのかは現時点ではまったく予測がつかない。
今回も体内を駆け巡る爆音とノイズが体験したことのない光景を脳内にもたらすのは間違いない。期待値をマックスにしながら来年2月まで雑多な情報と共にたっぷりと楽しんで進みたい。(大鷹俊一)
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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