2010年は、アルバム『Roclassick』に、クリスマスの通販限定シングル『I’m Standing on the Scaffold』にと、コンセプチュアルな展開をみせたBIGMAMA。彼らの2011年最初のリリースとなるダブルA面シングル。“秘密”は、金井政人が初めて自身のことを歌った新機軸だ。日本語で綴られる詞は、二度と会えない君への叶わぬ願いを星や虹に託しながら、思い出をなぞるようにして優しく語りかける。だがサビの最後の一説で、《why are you gone? 》(どうして君は逝ってしまったの？)と君を探し求める金井の苦しいほど剥き出しの感情が溢れ出て、どうにも切ない。その詩を包み込むアンサンブルは、夢と現実を行き来するように絡み合い、金井のファルセットをふわりと舞い上げる。そして何より今作では、東出のヴァイオリンが、曲に温かい血液を通わせるかのように、いつにもましてドラマティックに躍動し、アンサンブルを有機的に繋いでいる。BIGMAMAが「命」を鳴らすと、こんなにも強くしなやかなのだと驚かされると同時に、この特異な編成で鳴らすことの必然と可能性を、今一度証明した快作。（中村萌）