20年籍を置いたヴァージンから離れてロードランナーからのファースト・リリースとなる3年ぶりの新作がレニー・クラヴィッツの本作だが、これが久しくなかった珠玉のトラックだらけの本当に素晴らしい出来。もともとレニーはソングライターとして達人といってもいいので、どのアルバムについても実は楽に曲が書けてしまって却って詰めの甘い作品を作ってしまうこともあるのかもしれないが、今作はどの曲もかなり練り上げ、さらに多様性にも富んだ充実した内容になっていて、レニーの音楽性の拡がりを標した98年の『5』をどこか彷彿とさせて感動的。70年代末から80年代にかけてのファンクをインスピレーションにしたトラックが多く、特にタイトル曲などはクインシー・ジョーンズ的に超スリックなファンク・サウンドを見事に形にしつつ、「ブラック・アンド・ホワイト」を背負ってきた自身の生い立ちを生々しく綴るポスト・オバマ的なテーマを孕んだ名曲で、間違いなくレニーの代表曲となる曲。個人的にはマーヴィン・ゲイ風メロをカーティス・メイフィールド的に歌い上げる“リクウィド・ジーザス”にしびれた。(高見展)