そらいろの作り方

オトナモード『「グリーン」』
2008年08月27日発売
オトナモード 「グリーン」 - グリーングリーン
前作に続き、3rdシングル“グリーン”もまた、まばゆくブライトな世界。柔らかにエコーがかかったギターとゆったりと刻まれるリズムに、高橋啓太の甘くシルキーなボーカルが映える楽曲だ。

≪草原をわたう夏の風≫という冒頭のフレーズ通り、エアリーで、牧歌的な雰囲気を持った音は一聴するととてもシンプルだが、耳を澄ませば次から次へと、サウンドの奥底から音が湧き出してくるのがわかる。例えば、コーラス。明快なハーモニーではなく、メロディを波紋状に広げるような、繊細で緻密な音色が重ねられている。ギターやピアノに関してもそう。実に細やかな音が織り込まれた、レイヤー・サウンドだ。モリコーネやショパンもフェイバリットにあげるバンドだが、彼らのサウンドの構築の仕方は映画音楽やクラシックにも近い。恐らく、メンバーそれぞれが奏でる音、フレーズだけを取り出したら、それはとても奇妙なものになるだろう。でも、アンサンブルとなったとき、その音はかけがえのないパーツとして、大きな景色に溶け込んでいく。凄まじく洗練されたポップスを、彼らは奏でている。(吉羽さおり)
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