傑作だがおそらく賛否両論

メタリカ&ルー・リード『LULU』
2011年11月02日発売
ALBUM
メタリカ&ルー・リード LULU
近頃こんなに話題になった共演はないと言えるだろう。だが両者のこれまでの活動を顧みれば、いざ実現してみれば納得の組み合わせではある。音もそれにふさわしい堂々たる力作だ。
 
とはいえ、制作の経緯からみても、実際の音を聴いても、本作はルー・リードが主導権をとり、彼の書いた物語性の強い叙事詩的な歌詞とアクの強いトーキング・スタイルのヴォーカルをメタリカがバックアップする、という構造がはっきりしている。さらに重要な役割を果たしているのがプロデューサーの一人であるハル・ウィルナーで、彼がアレンジし指揮をとるオーケストレイションが、サウンド上の重要なアクセントになっている。ことにディスク2のほうは、ルーのヴォーカルとメタリカのギター・サウンド、そしてオーケストレイションがドローン音響的に相乗して鳴り続ける、チェンバー・メタル・ミニマル・文学ロックともいうべき一種異様な世界を作り出しているのである。時折メタリカらしいヘヴィなリフが聴けるものの、彼らの代名詞であるスラッシーなメタル・チューンは皆無だ。

つまりどこまでもマイペースなルーの文学世界にメタリカが一歩引いて合わせ、そのうえにウィルナーがヨーロッパ的退廃美をたっぷり含んだアレンジを施した本作は、ルー・ファンなら深く納得・満足だろうが、メタリカ・ファンには装飾過剰でなおかつメリハリに欠けるものに映るかもしれない。だが、本作で得たものは、むしろメタリカのほうが大きいと思う。この成果がフィードバックされるであろう彼らの次作が注目である。(小野島大)
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