ロックの宿る場所

高橋優『この声』
2012年03月14日発売
ALBUM
高橋優 この声
「日々動いてく世間とそこに馴染めない自分」とかいう疎外の構図を無効化し、無数の孤独な魂のきらめきを性急な歌とビートで抱き止める“蛍”。絶望感に押し潰されそうな日々すら《あなたと出会えてよかった》という熱唱とともに命懸けで輝かせていく“卒業”。幸せだった「あの日」の想い出に苛まれる心を活写した“誰もいない台所”……『リアルタイム・シンガーソングライター』以降の高橋優の時間は、日常に潜む悲哀へのアンテナの精度を研ぎ澄ませ、それを言語化し歌に昇華するという想いを極限まで先鋭化させるためのものだった――ということを、『リアルタイム~』から約11ヶ月ぶりとなる2ndフルアルバムの今作は雄弁に物語っている。膨大な情報量の歌詞が1mmたりともブレることなく粛然と像を結び、格段に迫力を増した歌が胸の奥底に鋭く刺さる。そして、恐るべき解像度で「今」を描く今作だからこそ、《一生忘れられない思い出は 今すぐにでも作れるのさ》と勢いよくぶち上げる“絶頂は今”が鮮烈なメッセージとして僕らを突き動かす。どこまでもシビアで熾烈な歌とロックの結晶。(高橋智樹)
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