ライヴァルはジュームス・イハか?

リー・ラナルド『ビトウィーン・ザ・タイムズ・アンド・ザ・タイズ』
2012年03月14日発売
ALBUM
リー・ラナルド ビトウィーン・ザ・タイムズ・アンド・ザ・タイズ
ソニック・ユースの名物男リー・ラナルドは、これまで何枚もソロ・アルバムを出しているけど、いずれも実験的なインストゥルメンタル作ばかりで、キャリア30年以上のヴェテランにして、これが初のヴォーカル・アルバムである。ジム・オルークやスティーヴ・シェリー、プッシー・ガロアのボブ・バート、ウィルコのネルス・クライン、ジョン・メデスキなど、幅広い交流をうかがわせる多彩なゲストが参加、プロデュースはジョン・アネグロが担当している。
 
ソニック・ユースでも、要所で実に渋いヴォーカルを披露しているけど、本作は期待以上の快作に仕上がった。張り詰めたものではなく、適度に肩の力の抜けたもので、リーの書くメロディアスで自然体の優しさを感じさせる楽曲を、スタジオ内でゆったりと仕上げていったのがよくわかる。決してうまいわけではないが、歌心に富んだヴォーカルは、二日酔いの朝に特に染みる(経験談)。ソニック・ユースや最近のブルックリン一派にも通じるサイケデリック感覚もうかがわせるが、むしろ初期ニール・ヤングを思わせるギター・ポップ・アルバムとして末永く愛聴できそうだ。(小野島大)
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