本編全10曲でトータル・タイム33分という簡潔な作りのアルバムにも拘らず、本作にはいくつもの分離独立した視点が存在する。あれもこれもと移り気な足取りでエレクトロにソウル、ヒップホップにカントリーにパンク・ロックにと、本作は曲毎にくるくると表情を変えていく。そんな本作の作風についてジュールズは「ライフスタイルが直反映された」結果だと語っている。ライフスタイルとはつまり2年に及んだ彼女達のツアー生活であり、各地を転々とする根なし草の生活―まさに「非定着」自体がコンセプトとなったアルバムなのだ。10曲がそれぞれ別個の意味において素晴らしいポップ・ソング揃い。そこは保証する。極太の柱ではなく、細かいパーツの組み合わせで設計された新たな家=アルバムとしての強度は、1年後くらいに再点検してみたい。(粉川しの)
定点を捨てる旅の音
ザ・ティン・ティンズ『サウンズ・フロム・ノーウェアズヴィル』
2012年03月28日発売
2012年03月28日発売
ALBUM
本編全10曲でトータル・タイム33分という簡潔な作りのアルバムにも拘らず、本作にはいくつもの分離独立した視点が存在する。あれもこれもと移り気な足取りでエレクトロにソウル、ヒップホップにカントリーにパンク・ロックにと、本作は曲毎にくるくると表情を変えていく。そんな本作の作風についてジュールズは「ライフスタイルが直反映された」結果だと語っている。ライフスタイルとはつまり2年に及んだ彼女達のツアー生活であり、各地を転々とする根なし草の生活―まさに「非定着」自体がコンセプトとなったアルバムなのだ。10曲がそれぞれ別個の意味において素晴らしいポップ・ソング揃い。そこは保証する。極太の柱ではなく、細かいパーツの組み合わせで設計された新たな家=アルバムとしての強度は、1年後くらいに再点検してみたい。(粉川しの)