前作『アートワーク』では、デビュー時からタッグを組んできたジョン・フェルドマンとは別のプロデューサーと制作。新たな視点を加えることで広がりと、原点回帰とを両立したアルバムだった。そこから2年半、バンドのはじまりから11年目を迎え、ホープレス・レコーズへ移籍し5作目となるアルバムをリリースする。新天地でのパートナーに選んだのは、やはり信頼の厚いジョン・フェルドマンだ。今作は、彼のもとで、やりたいことをやっている。
スクリーモの旗手として、ひとつのスタイルの基準点として、本人たちが意識をせずとも背負わされてきた「こうでなくては」というものが、あったのかもしれない。それはきっと二人三脚で走ってきたジョンにとっても同様だ。怒涛の10年を完走して、清々しい気持ちで自分の性分に忠実に、暴発するままに吐き出している。ヘヴィで、じっとり膿んだ感情あり、ひねくれた態度もあり、それでいてキャッチーな、歌い上げる昂揚感がある。ダンサブルな洒落っ気のあるアプローチやこってりハードロック調のノリで聴き手をにやにやさせつつ、しっかりガッツポーズもさせる痛快さだ。(吉羽さおり)
名勝負はつづく
ザ・ユーズド『ヴァルネラブル』
2012年04月11日発売
2012年04月11日発売
ALBUM