チバユウスケに、ありそうでなかった軽やかさと優しさに満ちた新曲だ。彼の曲に対してこんな言葉を使うのは照れ臭いが、臆面もなく言ってしまおう。彼自身もそうだったのではなかろうか。明るく軽快なメロディに乗って珍しく饒舌に幻想的な物語を描く前半、いろいろな情景が繰り広げられる中で《悲しみのはしっこはいつも　忘れられて放っとかれる》という一節に辿り着いた瞬間、胸ぐらをぎゅっと掴まれた気分になる。これが言いたくて今まで歌っていたんだなと気付かされる。そして最後にもう一度。あれから1年が経ち、放っておかれている悲しみのはしっこがあちこちにあるはず。「ROKA」は女の子の名前らしいが、その子は悲しみのはしっこを追っているのかもしれない。ライヴじゃシンガロング必至のポップ・チューンだが、聴くほどに想像を掻き立てる歌詞が滲みる。
　
カップリングの“YUYAKE”は、普通ならまったりしそうな「夕焼け」というモチーフを、ハードなロック・チューンでザクザク切り裂く。《闇が広がる前の数秒のあの気分》を表すスリリングな演奏が堪らない。（今井智子）