くるりの包み込む力

くるり&Various Artists『京都音楽博覧会2011 IN 梅小路公園』
2012年05月16日発売
DVD
くるり&Various Artists 京都音楽博覧会2011 IN 梅小路公園
くるり主催のフェス、京都音楽博覧会。アコースティック中心で行われた昨年の映像には、当然大震災後の空気が反映された部分もある。ステージには「祈復興」と書かれたいわき市の大漁旗が飾られている。その前でフジファブリックが、大切な人の不在とそれでも歩む今を歌った“ECHO”を熱演する。亡き志村正彦への想いと被災地への想いが重ねあわされている。また、社会を風刺しテクノロジー批判を織り込んだ斉藤和義の“ウサギとカメ”は、原発事故を意識して選曲したものだろう。
 
一方、ジャンルにこだわらない音楽の博覧会というフェスのテーマからいえば、細野晴臣と小田和正のハモリ、アコースティックになった10-FEETとウクレレのつじあやのの共演、石川さゆり“天城越え”などが見どころ。そして、主役のくるりが、自らフェスのテーマを体現してみせる。ミュートトランペットが入りジャズ風でも昭和歌謡風でもある“京都の大学生”、日本民謡を欧米の民謡のごとくアレンジした“鹿児島おはら節”などが秀逸。さまざまな音楽の要素を包み込む力を示した演奏だ。(遠藤利明)
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