饒舌な「静」の傑作

アザー・ライヴス『テイマー・アニマルズ』
2012年05月23日発売
ALBUM
アザー・ライヴス テイマー・アニマルズ
これは凄いアルバム。たとえばアーケイド・ファイア以降のオーケストラル・ポップ、チェンバー・ミュージックの最新形としても、また、ボン・イヴェール以降の深淵フォークロアの系譜としても、ここまでの完成度でそのふたつをミックスした作品は聴いたことがない。この『テイマー・アニマルズ』はアザー・ライヴスのセカンドAL。とはいえ彼らは日本ではほぼ無名な存在だと思うので改めて紹介すると、米スティルウォーター出身5ピース。しかしこれまたスティルウォーターって何処?って話だと思うので地図で確認すると米中西部のど真ん中のオクラホマ州に位置するとにかくド田舎な街らしい。その隔絶された環境と本作の高純度なリリシズムを因縁づけることは容易だが、曲を進めるうちに本作のリリシズムは精緻に構成された恣意的な産物、彼らは無自覚な珍獣ではなくて知的な能動体であることが理解できる。M6等には早くもレディオヘッドの最新マナーとの共振すら見て取れる。ちなみに彼らはレディオヘッドの最新北米ツアーのオープニング・アクトも経験済。そして今夏にはいよいよサマーソニックで日本上陸を果たす。(粉川しの)
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