もう「神話」だなんて言わせない

ザ・リバティーンズ『傷だらけの伝説』
2012年06月27日発売
DVD
ザ・リバティーンズ 傷だらけの伝説
これは絶対に日本盤を手に入れて欲しい。ネイティヴじゃない人間が何となく聞き取れて何となく理解できるような親切な英語をリバティーンズは一切喋らないので(特にカール)、インタヴューが充実した本作を日本語字幕無しで観るのはもったいないというか無謀の極み。そう、本作は再結成リバティーンズが最新の伝説を生んだ2010年のレディング・フェスのライヴDVDであると同時に、レディングの大舞台に至るまでのメンバーのやりとりや膨大なリハーサル風景を収めた詳細なドキュメンタリーであり、そしてカールとピートがあの再結成を機に「リバティーンズとは何だったのか」を赤裸々に語った、あまりにも貴重な歴史的インタヴュー集でもあるのだ。

2004年、当人達すら理解できない混沌の中で空中分解したリバティーンズは、その後長らくオフシャルな回顧の機会を奪われ続けてきたバンドだった。誰も正確な史実を描けない、その宙ぶらりんな状況がリバの神話化を促進させた部分も無きにしもあらずだが、同時にこの神話化は彼らの現実のカムバックを阻むものでもあった。2010年の再結成のために彼らは6年前の無様な悲劇と向き合う必要があったし、その痛みを伴う儀式を彼らがきっちり受け入れたからこそレディングはあんなにも素晴らしいステージになったのだということが、このドキュメンタリーを観れば理解できるはずだ。カールもピートも必死だ。必死にリバティーンズを取り戻そうとしている。日本盤は他にも特典満載のコンプリート仕様。かつてのリバの狂乱を思い出すレディング直前のウォーム・アップ・ギグ映像も必見。(粉川しの)
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