永遠の名作
マッシヴ・アタック『ブルー・ラインズ(2012リミックス& リマスター・エディション)』
2012年11月21日発売
ALBUM
あれからもう21 年にもなるのか。マッシヴ・アタックの1991年発表のファーストがメンバー自らの手でリミックス/リマスターを施され再発。試聴用ストリーミング音源で聴く限り、オリジナルの印象を一変させるような変化があるわけではなく、中低域のもやもやが消えて高域も透明感が増し全体にクリアに、すっきりした感じ。たぶんこの真価はボックス・セットに同梱される96K/24bit高音質音源ではっきりとわかるだろう。とはいえ、久しぶりに耳にしたこのアルバムの色あせぬ魅力を再認識させるには十分であって、たとえば〝アンフィニッシュド・シンパシー〟のストリングスの重厚な響きと立ちこめる憂愁の深さは、たとえようもなく蠱惑的だ。ここから、たとえば『OKコンピューター』が生まれ、90年代以降の新たなダンス・ミュージックの形が生まれ、ダブステップ以降の音響彫刻が生まれ、新しいレベル・ミュージックが生まれたのである。生音中心のシンプルなアンサンブルだが、ソリッドなリズム、磨き抜かれた音色と絶妙な空間配置による、奥行きのあるディープでドープなサウンド・プロダクションが素晴らしすぎる。(小野島大)
2012.11.22 20:30