「終わり」が連れてくる未来

星野 源『知らない』
2012年11月28日発売
SINGLE
星野 源 知らない
星野 源の音楽はどんどん思索的になってきている。表題曲“知らない”のテーマは「終わりのその先にあるもの」。何かが終わっても人生は続く。終わりから始まる景色があるはずだ――そんなメッセージを、星野は凛とした声で歌う。
 
ストリングスとアコースティックギターが奏でる、穏やかで美しいサウンド。では、リスナーがこの曲から受け取るのは、明るい希望なのだろうか。事はそう単純ではないと思う。“知らない”で強い印象を残すのは、何かが終わったという事実の重さだからである。別れの後にどんな出会いがあるとしても、ひとつの恋や友情が終わったという事実は動かない。《物語つづく 絶望をつれて》と歌う星野 源は、「終わり」をけっして軽く見積もったりしない。むしろ過去にこだわるからこそ、新たな現実への感覚が鋭くなっている、と言ったほうが適切だろう。
 
日常の中の「踊りたくなる瞬間」に焦点を当てた“ダンサー”、移ろう季節を哀切を込めて歌う“季節”など、細やかな感情描写がちりばめられた本作。過去の記憶を満載して少しずつ進む、幻想の大八車のような楽曲集。(神谷弘一)
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